榎倉康二展 <東京都現代美術館>


『榎倉康二展』に行ってきました。


すごく、良かった。
ギャラリー21+葉でも見た、廃油とコンテのシリーズの作品が好き。そのシリーズに限らず廃油の作品は、紙に油が浸透し、静かに広がる様子が美しい。シミが、そこに何かが『在った』ことを語っている。また、何かの気配を感じさせる。静かな存在感。

チケットにもなっている黒いペインティングの作品は、表面は湖の水面の様にフラットで、途中から絵の具が筋になって流れ落ちている。「黒」にも赤みがかった黒や、青みがかった黒がある。深みのある黒が何本も流れ落ちている様子は、夜の雨みたいだ。割とどの作品もキャンバスの真ん中に縫い目があったり、かなり継ぎはぎだったりするけど、この縫い合わせも画面を構成する一部として計算されているのだろうという事が見て取れる。写真で見るよりも本物を見たほうが断然いい。

見る度に発見がある作品はいいなと思う。逆によく見ると粗が目立つ作品は、げんなりする。手を抜かないきれいな仕事っていいですよね。


いい日だったー。