かっこいい


今日の帰り道のこと。

電車で隣に座った男のイヤホンからは音が漏れ、周囲にシャカシャカと賑やかしい音を響かせていた。
まあよくあることなので、気にも留めず座っていた。
いくつか駅を過ぎ、落ち着いた頃のこと。斜め前に立っていた男性の手が、目の前を通過し、隣の男の腕をぽんと叩いた。
「音、漏れてるよ。」
ぶっきらぼうで、優しい声だった。
隣の男はすぐに音を下げ、何も言わずにまた携帯の画面を見つめた。
私はつい、その声の主の顔をまじまじと眺めてしまった。
次の瞬間、停車した駅でその人は降りていってしまった。
自分の不愉快さはさることながら、周りの人のためにも、迷惑なことを注意して去っていったのだ。


このような一見普通のことも、東京ではあまりする人がいないので、素晴らしいことのように見えるなあ。